メンテナンス・ノート

 

車いす使用中の事故をメンテナンスで防ぐ事はできるだろうか(フットサポート編)

何度も言いますが、車いすを使用するうえで大切になってくるのが適切に使う事

これが大切です。

万が一事故が発生した時、

製品の問題なのか、それとも利用方法に間違いはなかったのかが問われます。

 

メンテナンスに関しても適切なメンテナンスを行ったかを問われる可能性があり

現在、貸与福祉用具のメンテナスに関してはJISのサービス規格として公示されて

います。

「貸出福祉用具のメンテナンス工程の管理に関する一般要求事項:JIS Y2001」

 

レンタルの福祉用具に関しては一定のメンテナンスの基準ができたました、ただ

施設等で購入したものに関しては、利用者や施設がしっかりと管理する必要が

あります。

 

 

フットサポートに関する事故

  • フットサポートを上げて足を地面に下ろすのを忘れ、そのまま立ち上がり転倒

 

  • 走行時にフットサポートから足が落ちてしまい車いすに巻き込まれる。

 

  • 移乗時にフットサポート裏側突起と足の皮膚が接触し、裂傷になる。

 

  • 上げたはずのフットサポートが下りてしまい、足がフットサポートにつまづく又はフレームとフットサポートに挟まり転倒する。

 

  • 利用者を乗せたあと、フットサポートを下ろし忘れ足を乗せず前進したため、足が巻き込まれる。

 

  • 利用者を乗せたあと、フットサポートを下ろし忘れ足を乗せなった為に座位が保持できず、車椅子からずり落ちてしまう。

 

  • 車いすをベッドに寄せる際、フットサポート分の長さがある事を忘れてしまいフットサポートと足をベッドにぶつけてしまう。

 

  • 落ちた物を拾おうと、とっさにフットサポートから足を下ろさず前かがみなった時に後輪が浮いてしまい車いすが動いて転倒する

 

以上がすべてではないですが、比較的多く発生している事故や事故になりそうだった

という事例です

 

 

 

メンテナンスによって防ぐには

事故の発生原因は介助者のうっかりミス、要介護者自身によるもの、整備不良によって
発生するものなど原因は1つではなく様々な要因が重なり思いがけないものもありま
す、ここでは、メンテナンスをして整備不良を無くすことで発生するリスクが減るのか
という点について考えていきたいと思います。
 
点検項目とその意味

点検やメンテナンスをするにあたり最初に思う事、それは

「何でその点検をするのか」 

これが理解できないと、点検している意味が分からず徐々にやらなくなるでしょう、

なので点検の意味とそれによって防げるであろう事故をつなげていこうと思います。

※病院や施設等で多く使われている、普通型車椅子をメインとした点検です。

※点検項目は日本福祉用具評価センターの物を使用しております。

 

点検項目1

フットプレートに緩みはないか??

一般的な車いすに使用されているフットサポートは取り付け方法(高さ調整方法)が

2種類あります。

 

1つ目 貫通式

フレームパイプに直接穴があいており、そこにボルトを通してフットサポートが固定されています、

毎日の上げ下げを行う事でネジが緩んでしまう事があり、プレートを上げたはずなのに

勝手に落ちてくるという状態になり危険です

なので定期的にボルトの締め付け行いプレートが勝手にまたは簡単に落ちて来ないか

点検

必要があればボルトを締めて簡単に落ちて来ないように調整する。

 

2つ目 ウェッジ式

ウェッジとは日本語にすると「くさび、くさび型のもの」というような意味を指します

このタイプはフレームパイプにフットサポートのパイプを差し込んである物で

中に「くさび」になる物あり固定できる仕組みです。

 

プレートの上げ下げの硬さ調整は板状のバネを使っており、調整はできません。

したがってプレートが勝手に落ちてくるようになった場合はバネの交換またはフットサポートの交換などの整備が必要になります

※メーカーによって部品供給が違う為、交換できる箇所が変わる

 

 

フットサポートがフレームパイプにしっかりと固定され動かないか点検

緩みがあると、フットサポートが抜け落ちやプレート部分が回ってしまう状態になる

 

上記点検で防ぐ事が出来そうなものは

  • 上げたはずのフットサポートが勝手に落ちて、つまずく
  • フットサポートが勝手に抜け落ちるまたは下がってしまい、地面や段差に引っかかる事で急ブレーキを掛けた状態になる
  • フットプレートが回って動いてしまい、乗せている足が落ちるまたは不安定になる

 

厚生労働省 福祉用具ヒヤリハット事例集2019から引用

 

 

 

 

 

 

点検項目2

フットサポート・フットプレートに亀裂損傷はないか??

車椅子を使用しているとフットサポートをよくぶつけます、たいしたことないように見えてもパイプが曲がってしまい足を安定した状態でのせる事が出来ない、足を置くプレートが割れる・傷や引っかかりができてしまう事があります。

 

パイプの変形やひび割れ、プレート部分の割れや欠け、裏側や角に鋭利で引っかかるような部分が無いか点検する必要があります。

 

上記点検で防ぐ事が出来そうなものは

  • フットサポートの裏側のささくれや割れによってできた凹凸部に利用者の足が接触し皮膚損傷が発生する
  • 足がフットプートから滑り落ち、巻き込まれる
  • ひび割れがある状態で足を乗せた為、重みでプレートが割れ落ち巻き込まれる

厚生労働省 福祉用具ヒヤリハット事例集2019から引用

 

ここで疑問がちょっと触れただけで大きな怪我になるの??

 

ちょっと擦れた、これぐらいで!!

この現象は「スキンテア」と呼ばれており、

誰にでも発生する可能性があり

特に加齢や病気の治療などで皮膚が弱くなった方に多く発生し、非常に強い痛みを伴います。

具体的には

車いすの移乗時だけでなく、体位変換、絆創膏や医療用テープを剥がす時に一緒に皮膚が裂ける、更衣中に衣服で擦れて剥がれる、ベッドの柵に擦れてなど

生活する多くの場面で発生する可能性があります。

drive.google.com

 

点検項目3

その他の点検

点検項目2までが代表的な点検ですが、その他にもフットサポートが取り外しできるものや左右に開閉できる物、フットサポート・レッグサポートの角度を調整できる物などがあります

そういった特殊な機能がある物の取り扱い説明書に記載されている点検が必要になります

 

 

まとめ

今回はフットサポートに起因する事故について、メンテナンスでどれだけ防ぐ事ができるのか考えてみました、
車いすの事故は複数の要因が重なりあって起こる事が多いようです、メンテナンスで多少は発生のリスクをすくなくは出来るでしょう
 
ただ、このメンテナスの位置付けとしては車いすの利用方法の一部だと私は思います、利用者や介助者が車いすの利用方法を理解する事がやはり重要なんだなと思いました。
 
最後にメンテナンスだけでは防げない物には工夫が必要です、インターネットで調べると沢山の方の知恵が出てきます、ぜひ参考にしてください。