メンテナンス・ノート

 

「ブレーキかけ忘れ」車いすからの転倒を防ぐ自動ブレーキ、松永製作所製「立ち止まり君」

車椅子からの転倒事故、毎年発生しております。

車椅子のメンテナンス不足、利用者が使用方法を理解していない、落ちた物を拾おうと

とっさの反応によるものなど

原因はいろいろあります。

その一つに挙げられるのが「ブレーキのかけ忘れ」

ヒヤリハットにも必ず出てくるくらい多く発生しており、施設などではいろいろな

対策を考え防ぐ努力をしております

 

そして車椅子を製造する側も対策を考えております

 

今回は松永製作所製自動ブレーキ「立ち止まり君」と他のメーカで採用されている自動

ブレーキをご紹介します。

 

ただお預かりした車椅子の修理ご依頼内容はこの自動ブレーキを取り外す

作業です、外す理由は

  1. 部品の破損により自動ブレーキが使えない状態とのこと
  2. 修理後は予備の車椅子として利用するので、自動ブレーキの機能はいらない

 

このような理由により取り外すことにないました。

 

 

 

車椅子の自動ブレーキとは
車椅子には手動で動かすブレーキが取り付けられています、車椅子を動かす時以外は
ブレーキを掛けて車椅子が動かないようにするのが基本です
ただ慣れやブレーキに腕やテーブル、介助者がぶつかったりすることで
かけ忘れやかけたつもりが掛かってない、なんてことが起きてしまい
 
それを知らずに立ち上がろうとすると、車椅子が動いてしまい転倒する事故が
発生する事になってしまいます。
 
その「かけ忘れによる事故」を防ぐのが 自動ブレーキの役目です
 
仕組みは、立ち上がろうとするとブレーキが作動し、車椅子を動くのを防ぎます
今回紹介する物も同じく立ち上がろうとすると作動します。
 
注意事項、自動ブレーキの種類によっては、タイヤにブレーキを押し付けて動かなくする車種もあります、その場合タイヤの空気圧が規定値に調整されている事が前提となっており、空気圧が少ない場合には自動ブレーキが作動してもブレーキがしっかり効かず車椅子が動く事がございます。
 
 
 
各社の自動ブレーキまたはブレーキかけ忘れ防止装置
多くのメーカーが「ブレーキかけ忘れ防止装置」または「自動ブレーキ」機構が
採用されている物をラインナップしています
ここではその一部をご紹介いたします。
 
※現在使われていない物もある可能性がありますのでご了承ください。
 
セーフティーオレンジ
転ばなイス
 
 
ジーガード2
 
 
立ち止まり君
 
・カワムラサイクル
忘れナイト
 
とまっティーシリーズ(ノンバックブレーキシステム)
 
ロックアシスタ2
 
その他に車椅子に後付けできる物として
 
ピタッとストッパー
 
・沢田電機
転倒防止すん止メ君
 
 
以上、ざっと調べてこれだけの商品がございました。
 
 
自動ブレーキの構造
多くの自動ブレーキに採用されている構造を簡単に説明いたします
 
大まかな構造は、
・利用者が座っている事を検知する部分
・ブレーキ部分
 
この二つです
松永製作所製の立ち止まり君で説明します
 
座っている事を検出する部分は

この金属製のプレートが座っている事を検出する部分です
本来は専用のクッションの中にいれて使用しプレートに荷重がかかる事でブレーキが
介助され
立ち上がり動作によって荷重が無くなるとブレーキが作動します。
 
ブレーキ部分

 
車輪に取り付けられているギザギザのリングにブレーキが噛み合う事で車輪を止めます
なのでタイヤの空気圧に関係なく確実に作動します。
 
※この車両はブレーキに側の凹凸が摩耗して無くなっています。

このような仕組みで作動しているブレーキ、ただ今回の車両のように壊れてしまう事も
あるようですね。
施設内で使用されているこの車椅子、どういう使い方でこのような状態になったのかは不明です。
 
 
最後に
ブレーキのかけ忘れ、福祉用具関連のヒヤリハット必ずと言っていいほど事例として
出てきます
しかし、さほど普及していないような気がします
私自身、メンテナンスをしていてもあまり見かける事も無いですし、それに各メーカー
のカタログを見ても大々的には載っておらず,見つけにくような気がします
何でだろうか、それが私の疑問です。